第33回(12月3日掲載)
2019.12.03 13:18
< “こどもの国プール”は、リニューアルの集大成 >
2006年に竣工した稲毛海浜公園プールでリニューアルの課題が判明し、2008年に第一期が完了した“こどもの国”は、この学習した経験を生かした作品となった。
実施設計を担当した横浜の須山設計さんに、半年間を毎週のように通いつめた。個々の具体的な改修案の議論は、いつも事務所の外まで続いた。議論して構築される驚きのアイデアに、興奮して時の経つのも忘れる程であった。
30年程経過した鋼製プールをベースにした改修故、念の為に底板の腐蝕検査を5ヶ所実施した。厚さ6mmの底板は5mm以上の肉厚を保持していた。
既設1,500m2強のプールを維持管理上、2分割して車輌を通したい施設側の意向があった。そこで底部は再利用して、既設プール壁の800mm内側に新設壁を設け、この間を配管スペースとして施工後に埋め戻しプールサイドとした。同時に、バリアフリーと安全対策をした入水階段・排水桝・グレーチング付オーバーフローを新設し、使い勝手の良いプールに生まれ変った。
課題は新設のプール側壁で、サンドクッション上の既設プール底板に立ち上げて以後レベルを維持できるか?対策として、底板を補強の上高さ200mmの側壁を立て、この固定された側壁にオーバーフロー付の側壁を再度溶接することで解決できた。
水面積770m2の徒渉プールと710m2の遊泳プールに分割されたプールは、底部を再活用することによりコストダウンと工期の短縮に大きく貢献できた。
尚、鋼製プールの塗装の維持管理費を考慮し、耐久性に富むガラスフレーク入りの重防蝕塗装を採用した。
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